病院へ侵入する窃盗犯は多いといいます。そう聞くと、大病院内にてお金を盗むというイメージがあるかもしれません。ですが、警備の甘い個人経営のクリニックなどで金銭どころか物品が盗まれるケースもあるのです。
クリニックや医院に防犯カメラは必要?
例えば、注射針などが病院から盗まれ、薬物乱用者に密売されているというケースがあります。また、患者の病歴などの個人情報が入ったパソコンが盗まれて社会問題になってしまうこともあります。
このような被害が発生すると、金銭的被害はもちろん、病院の社会的責任も追求される事態となるでしょう。
2012年にはある窃盗犯3人組が逮捕されました。この窃盗グループは100件近い窃盗を行なって逮捕されましたが、うち半数は個人経営のクリニックに侵入したとみられています。
なぜ50件近くも開業医を狙ったか考えれば、窃盗犯が小さなクリニックは窃盗が行いやすいと経験上知っていたからです。
クリニックや医院は大病院と違い、夜は誰もいないことがほとんどです。また、病院と自宅が一体化していることがあっても、病院部分の防犯体制はさほどなく、やすやすと侵入することが可能。その割に、パソコンや注射針など、闇社会で高額で売ることが出来るものが多く、むしろそれを目当てに侵入することが多いのです。
そういって点から、小規模の病院だからといって安心することなく、防犯カメラなどの防犯設備を設置しておく必要性があります。
病院で実際におきた犯罪とそもほかの危険性
実際に病院等で窃盗などの事件が起きた事例を見てみましょう。
[box class="yellow_box" title="外部そして内部からの犯行手口"]福岡県では、医者の自宅と、自宅に隣接した病院に窃盗犯が入り、手提げ金庫や机、タンスなどに保管しておいた現金350万円が盗難されています。この350万円は病院の運営費であり、小さなクリニックでは多額の運営費が盗難されることはとてつもなく大きな負担になります。
この事件では防犯カメラなどは設置されておらず、施錠と現金を金庫に入れておくだけだったようで、プロからみればやすやすと犯行に及ぶことが可能だったことでしょう。
福井県では、病院の現金やパソコンが立て続けに盗難被害にあっており、大きな問題になりました。しかし、防犯カメラを設置したところ、病院に勤める看護師が盗難を行なっている現場を撮影。そのまま逮捕となりました。
防犯カメラは外部からの侵入のみならず、内部犯の犯行への対策としても有効です。[/box]
最近急増しているのが、病院や薬局から注射針や向精神薬・睡眠薬などの窃盗です。個人経営のクリニックは防犯体制が甘いわりに、貴重なものがおいてあるとは先程も書きました。
しかし、窃盗してもかさばらず、闇社会で高額で売ることが出来るため、窃盗犯にとっては宝の山なのです。
麻酔薬や精神薬などの窃盗事件は、年250件にものぼります。薬局のみならず、病院・診療所や卸問屋からも盗まれる事件が発生している現状があるのです。
個人情報の入ったパソコンは高額で転売される物品の1つです。
パソコン内部に保存している個人情報を、名簿屋と言われる業者に密売するケースがあります。その業者が詐欺グループなどに転売し、詐欺グループは病気が治るなどと偽り高額な商品を患者に売りつけようとすることもあります。
小規模の病院でできる防犯対策
小規模の病院では「病院の運営も大変だし、忙しすぎて防犯に手が回らない」という医師もいるでしょう。ですが万が一のことが起きては、病院の閉鎖も考えなければならないほどの問題を抱えることになります。
まずは、病院にどのようなものを保管してあり、それが簡単に盗まれてしまうかどうかの見直しをしてみませんか?
防犯とは、他のところより少しでも犯罪を起きにくくするという点がポイントです。周囲の病院の防犯度が50%だとしたら、55%の防犯体制を整えておけば、犯罪は起きにくくなるのです。ですから、防犯カメラなどでセキュリティ対策をとることは決して無駄ではありません。
防犯カメラはしっかり設置していれば、窃盗犯はそれだけで犯行を諦めることがあります。「もっと楽に盗める病院は他にもある」と犯行を留めさせる確率が上がります。
病院で犯罪が起きてしまえば、たとえ予期せぬことでも、信用度が下がってしまいます。そうならないよう防犯体制を整えることが、病院の経営者としての責務ではないでしょうか?
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